ブックレビューVol.3 『香君』

 2学期の授業が本格的に始まりました。スタートが肝心! 1学期最後の気持ちを思い出して、しっかり授業に取り組みましょう。朝テストも始まりました。今日は「古典」のテストがありましたが、金曜日は課題図書テストです。

ということで、63期図書委員による「香君」のブックレビューを掲載します....ネタバレという程のことはないので、今最後のあたりを頑張って読んでいる人も、読んでみてください。私もこの夏に読みました!とても面白かったですね。

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著者名・書籍名
上橋菜穂子(2024)『 香君 』(文春文庫)

本書の概要
香りから万象を知る香君のもと、オアレ稲という奇跡の稲を中心に栄えてきたウマール帝国とそれに属する諸藩王国。藩王国の1つである西カンタルの藩王であったケアルーンはオアレ稲の栽培を拒み続けて王位を追われた。ケアルーンの孫であり香りに対して特別な感覚を持っていたアイシャは、処刑されそうなところを藩王国視察官であるマシュウに救われる。アイシャはユギノ山荘で香君やマシュウと過ごし、オアレ稲にまつわる帝国の危機が訪れようとしていることを知り、オアレ稲の生態についてタクたちと一緒に研究することを決める。努力も虚しく、帝国には危機が訪れるがアイシャは香りからオアレ稲の秘密を解き明かして行く。

レビュアーによるコメント
まるで自分も本の中の世界に入っていたように感じるほどに引き込まれる作品だった。植物を題材にしており、美しくもどこか恐ろしさを感じるような描写が多々あった。人間が持つ心の美しさや醜さが巧みに表現してあり、より世界観に没頭することができた。また、どうしようもない状況の中だとしても諦めず、粘り強く人々を救おうと奮闘する主人公の姿に心を打たれた。特に香君をそばで支え続け、香君とともに国を変えようと努力するところが特に印象的だった。もし彼女と同じような状況にあったとしたらきっと私は何かの行動を起こすことすらできなかったと思う。だからこそ自分とは全く違う性格、生き様を持つアイシャに強く惹かれ、彼女のような行動力があり、力強くて心優しい人になりたいと思った。読んだ人に対して憧れや尊敬を抱かせる素晴らしい作品だった。(Reviewer:S.V)

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引き続き『香君』後半の紹介です。

著者名・書籍名
上橋菜穂子(2024)『 香君 』3巻(文春文庫)

本書の概要(第3巻)
ウマール王国がオオヨマによる虫害に悩まされていた頃アイシャが誘拐された国でオオヨマにも負けないオアレ稲が見つかります。マシュウの計らいでこの稲は人々にとって希望の稲となるがアイシャはそのオアレ稲を育てることに対し恐怖や不安を感じはじめますそんななかある一人の男が発見されるとともに驚くべき事態が起き始めます。

レビュアーによるコメント
後半からの物語の進み具合が面白いので注目点です。展開が急変してアイシャが立ち向かっていく点が見どころです。(Reviewer:R.I)


著者名・書籍名
上橋菜穂子(2024)『 香君 』4巻(文春文庫)

本書の概要(第4巻)
虫害による被害が多くの場所で広がる中、解決のためにアイシャ達がオアレ稲の全焼を提案するも国はすぐには決断を下せません。人々にとっても生きるために大切なオアレ稲を簡単に焼くことはできません。そこで香君としてオリエが立ち上がります。

レビュアーによるコメント
物語の最後の巻としてとても惹きつけられる内容でした。特にオリエが虫害を抑えるために立ち上がる場面は必読です。(Reviewer:R.I)