ブックレビューVol.4『かがみの孤城』

掲載が遅くなってすみません!

図書委員によるブックレビュー、2学期バージョンです。

著者名・書籍名
辻村美月(2017)『かがみの孤城』(ポプラ社)

本書の概要
『かがみの孤城』は、心に傷を抱える中学生たちが、鏡の中の城に集められ、願いを叶える鍵を探すという物語です。最初は夢のような世界に見えますが、読み進めるにつれて、登場人物たちの過去や痛みが少しずつ明かされ、思わず胸が詰まる場面が続きます。なぜ彼らが集められたのかという謎が物語を支え、やがてつながっていく展開には驚きと感動があります。特に終盤のあるシーンは、静かで優しいのに、涙があふれるほど心を揺さぶられます。誰かとわかり合いたい、つながりたいと願うすべての人に届く物語です。読み終えたあと、自分や周囲の人を少し優しく見つめ直したくなる、そんな一冊です。

レビュアーによるコメント
読んでいると、何度も胸が締めつけられるような気持ちになりました。登場人物たちが抱える孤独や痛みが、自分の気持ちと重なるところがあって、思わず感情移入してしまいました。誰かに気づいてほしい、でもうまく言葉にできない——そんなもどかしさが丁寧に描かれていて、登場人物のひとりとして物語の中に入り込んでいるような感覚になりました。特にラストの展開では、驚きとともに涙がこぼれました。人とつながることの大切さや、自分の存在が誰かにとって意味を持っていることに気づかされ、心があたたかくなりました。この本に出会えて、本当によかったと思います。落ち込んだときにまた読み返したくなるような、大切にしたい一冊です。皆さんもきっと「この本に出会えてよかった」と思えるはずです。(Reviewer:Y・S)