ブックレビューvol.6 『 楽園のカンヴァス 』

著者名・書籍名

原田マハ(2014))『 楽園のカンヴァス  』(新潮文庫)

本書の概要
天才画家アンリ・ルソーの名画「夢」をめぐる、美術と謎の話。ニューヨーク近代美術館の学芸員ティムは、ルソー研究の先生トムに届いた招待を見て、自分が行くことにした。向かった先はスイスの富豪バイラーの屋敷。そこにはルソーの「幻の絵」と呼ばれる作品があり、ティムはそれが本物かどうかを調べることに。そこで女性研究者の早川織絵に出会った。二人は七日間で絵と向き合いながら、ルソーの人生や作品について調べていく。人の考えややり取りが交わる、読みごたえのある話。

レビュアーによるコメント
この作品で一番印象に残ったのは、絵をめぐる人の思いや情熱の強さだ。ルソーの絵がただの美術品じゃなくて、見る人の人生や記憶まで引き出していくところがすごくおもしろいと思った。特に、ティムと織絵の関係が少しずつ変わっていく様子に引き込まれた。最初はただのライバルだったが、絵を通してお互いの気持ちや過去を理解していく。絵画の知識がなくても、ストーリーがミステリーになっているため読みやすい。ルソーという名前を知らなくても読み終わるころには絵を実際に見たくなる。芸術は難しいと思っていたが、この本で少し身近に感じられた。美術に興味がなくても楽しめる作品だ。(Reviewer:R.S)