ブックレビューVol.7『そして、バトンは渡された』

著者名・書籍名

瀬尾まいこ(2020)『そして、バトンは渡された』(文春文庫)

概要
主人公・優子は、幼い頃に実の母親を事故で亡くし、父親も優子が小学生の時にブラジルへの転勤が決まったことで父親とも離れ、継母と暮らすことを決めた。その後も、何人もの大人たちに振り回され続け、高校生になった現在は二十歳しか離れていない「父」森宮さんと暮らしている。学校の人に生い立ちを気遣われたり、からかわれたりするが、血は繋がらないながらも全員から愛情を沢山注がれた優子自身は、この現状を重く受け止めてはいなかった。複雑な環境の中で、不器用ながらも優しい森宮さんや、かつての継母、梨花さんとの生活、同級生との関わりを通して成長していく優子。そんな彼女が伴侶を持ち、かつての親たちと関わった時、彼女は何を思うのか。

コメント
「血の繋がらない親子」と聞くと、なんだか気まずいことのように思います。でも、この本に出てくる義理の親たちは個性的だけれど確かに温かい、優しい人たちです。彼らだけではない。どのキャラクターも魅力的で、心温まります。個人的には「困った。全然不幸ではないのだ。」と開口一番言ってくる本作の主人公、優子がお気に入りです。淡々としているのに言動が常識とは少しズレてて、それが面白おかしく書かれてて、見ていて飽きないです。                (レビュアー:S・G)