ブックレビューVol.8『現代思想入門』

 著者名・書籍名

千葉雅也(2022)『現代思想入門』(講談社現代新書)



概要
この本で言う「現代思想」とは1960年代から90年代を中心に、フランスで展開された「ポスト構造主義」のことを指す。20世紀の思想の特徴は、排除される余計なものをクリエイティブなものとして肯定したことだ。この時代を代表する哲学者であるデリダは「二項対立の脱構築」をとなえた。二項対立のむしろマイナスの側に、味方できるようなロジックを考え、主張されている価値観に対抗する。そして、対立の両側が依存し合う。そういう論法が「二項対立の脱構築」だと。このような脱構築の考えが、本書の最初の三章で語られている。後半では現代思想の先駆者としてニーチェ、フロイト、マルクス、3人の思想家が取り上げられている。自らの力を取り戻す実践的な課題について述べている。その他にも「精神分析と現代思想の関係性」や「現代思想のつくりかた」など哲学的な観点から論が展開されている。ぜひ読んで学びを広げよう。
コメント
私が特に共感したのは二項対立の考えを解体し、固定的な意味や解釈を再検討することを意味する「脱構築」の考えだ。なぜなら、秩序からずれるもの「差異」に注目することによって、現代社会で重要視されている多様性を守ることができると考えるからだ。「脱構築」はそれだけではなく、物事へのクリエイティブな捉え方を育むことにもつながると思った。ぜひこの本を読んで、脱構築の考えについて学びを深めてほしい。(レビュアー:T・K)